第111回社会保障審議会 介護給付費分科会が開催されました

2014-10-27

今回のポイント

●介護給付費分科会で、平成27年度改定に向けて訪問系サービスについて議論しました。
○短時間の身体介護、「夜間・深夜・早朝等も要介護3以上に限定」案が浮上
○一体型の定期巡回・随時対応、訪問看護の一部を他事業者に委託可能とする提案
○訪問機能強化した小規模多機能型への加算提案、委員からは批判も
○複合型サービス、訪問看護の実施状況に着目した加算・減算規程を提案
○体制強化し質の高いサービスを行う訪問看護STをより手厚く評価

厚生労働省は10月22日に、社会保障審議会の「介護給付費分科会」を開催しました。この日は、平成27年度の介護報酬改定に向けて訪問系サービス・地域密着サービスを中心に議論を行いました。

 

■短時間の身体介護、「夜間・深夜・早朝等も要介護3以上に限定」案が浮上

(1)の訪問介護に関する論点は次の5つです。
①20分未満の身体介護の見直し
②サービス提供責任者の配置基準等の見直し
③訪問介護員2級課程修了者であるサービス提供責任者に係る減算の取扱い
④生活機能向上連携加算の見直し
⑤予防給付が事業化することに伴う人員・設備基準

このうち①の「20分未満の身体介護」については、要介護1・2の軽度者における夜間利用が目立っています(軽度者は夜間のみ利用可)が、在宅での中・重度者支援促進に向けて次のような見直しが提案されています。

●夜間・深夜・早朝時間帯について、日中時間帯と同様に「要介護3以上」「障害高齢者の日常生活自立度ランクB~C」「単なる見守り・安否確認のみのサービスによる算定は認めない」などの要件を設定する(現在は、夜間・深夜・早朝では算定要件がありません)
●「20分未満の身体介護」を算定する利用者に係る1ヵ月あたりの訪問介護費は、定期巡回・随時対応(一体型)における当該利用者の要介護度に対応する単位数の範囲内とする
●同一建物居住者へのサービス提供に係る減算割引を引き上げる

これらの措置は「短時間の身体介護を定期巡回・随時対応に移行していく」ためのものであるが、鈴木委員(日医常任理事)は「短時間身体介護のすべてを定期巡回・随時対応に移すべきであろうか。使い勝手がよいよいとの評価もあり、訪問介護にも短時間訪問介護を残すべきである」との考えを述べています。

②のサ責配置については、次の2点の見直し案が示されました。
●中重度者を重点的に受入れ、人員基準を上回る常勤のサ責を配置する事業者について【特定事業所加算】で評価する(新たに、体制・人材・重度対応要件とする【特定事業所加算Ⅳ】を新設する)
●複数のサ責が共同して利用者に係わる体制や、利用者情報共有などサ責が行う業務の効率化が図られている場合には、サ責配置基準を「利用者50人に対して1人以上」に緩和する(現在は「利用者40人に対して1人以上」)

後者の提案に対しては、平川委員(連合総合政策局生活福祉局長)や内田委員(日本介護福祉士会副会長)から「サ責の業務は膨大であり緩和すべきではない」旨の反対意見が出されています。

サ責については、あわせて③で「介護福祉士への段階的移行を促進するために、平成27年4月から一定の除外規定を設けたうえで、ヘルパー2級の減算割合を30%に引き上げ、平成30年度以降はヘルパー2級のサ責を廃止する」ことが提案されました。

除外されるケースとしては「減算が適用される事業所が、他の訪問介護事業所のサテライト事業所である場合」が提示されています。

また④の【生活機能向上連携加算】については、「通所リハのリハ専門職が、利用者の居宅を訪問する際にサ責が同行した場合」も対象とする(現在は、訪問リハのリハ専門職がサ責と同行訪問し、訪問介護計画を共同作成することのみが対象です。)

この点、現在、下部組織である「高齢者の地域におけるリハビリテーションの新たな在り方検討会」の議論も踏まえて引き続き検討する考えを厚生省老健局の高橋振興課長は述べています。

ところで、要支援者に対する訪問介護については、通所介護とあわせて市町村の行う新たな総合事業に移管することとなっています。

これを踏まえ厚労省は「訪問介護と、総合事業における訪問事業を同一事業所で一体的に運営する場合の人員・設備の取扱い」について、次のような考え方を示しています。
●訪問介護と、「現行の訪問介護相当サービス」を一体的に運営する場合は、現行の介護予防訪問介護に準じた(つまり現行と同じ)人員・設備基準を守る必要がある。
●訪問介護と、「訪問型サービスA(緩和した基準によるサービス)」を一体的に運営する場合は、現行の訪問介護員等の人員基準を満たし、サ責配置は要介護者数をベースとした基準を満たせばよい(要支援者については必要と考えられる数)

■一体型の定期巡回・随時対応、訪問看護の一部を他事業者に委託可能とする提案

(2)の定期巡回・随時対応に関しては、次の5つの論点が示されました。
①訪問看護サービスの提供体制の見直し
②通所サービス利用時の報酬算定(減算)の見直し
③オペレーターの配置基準等の見直し
④介護・医療連携推進会議および外部評価の効率化
⑤同一建物居住者へのサービス提供

①は、定期巡回、随時対応サービスの拡充を図るために「一体型事業所における訪問看護サービスの一部を、他の訪問看護事業所に委託する」ことを認めてはどうかという提案です。

定期巡回・随時対応サービスは、重症者をはじめとした要介護高齢者の在宅生活を支えるため、日中・夜間を通じて訪問介護と訪問看護を一体的またはそれぞれが密接に連携しながら、定期巡回訪問と随時の対応を行うサービスです。地域包括ケアシステムの要となるサービスとして平成24年4月に創設されました。

これには、1つの事業所で訪問介護と訪問看護のサービスを一体的に提供する「一体型事業所」(平成26年6月時点で全体の36.1%)と、事業所が地域の訪問看護事業所と連携してサービスを提供する「連携型事業所」(同65.5%)があります。

今回の提案について厚労省老健局の高橋振興課長は、「たとえば顔なじみになって訪問看護事業所がある場合、一体型の定期巡回・随時対応への移行が難しいというケースがあるかもしれません。一部委託を認めることで利用が進むことも期待される」と説明しています。

②は「通所介護・通所リハ等を受けている利用者に対し、定期巡回・随時対応サービスを行った場合には、定期巡回・随時対応サービスの1日あたり所定単位数を約3分の2減算する」という仕組みについて、減額幅を緩和してはどうかという提案です。

平成24年度改定の効果検証調査による「定期巡回による訪問回数や1回あたりの訪問時間は、通所介護利用の有無で差異が見られない」との結果を受けてのものであります。

③はオペレーター配置基準等を緩和する提案です。現行、オペレーター(利用者からの電話等を受け、随時対応サービスの発動を指示する)の配置は併設施設に限定されているが、次のように緩和してはどうかと厚労省は考えています。
●「同一敷地内にある」または「道路を隔てて隣接する同一法人が経営する」他の施設・事業所等の職員をオペレーターに充てることを認める
●利用者に支障がない場合には、「複数の定期巡回・髄時対応サービス事業所の機能を集約し、通報を受ける業務形態」を認める

後者については、極論すれば「全国単位のオペレーターセンター」も認められます(現在は不可)が、通報をうけてから遅滞なく図時対応サービスを提供できることが必要となります。

④は、外部評価を廃止し、第3者評価を「介護・医療連携推進会議に集約」するものです。この点について、小規模多機能型や複合サービスでも同様の提案がなされていますが、田部井委員(認知症の人と家族の会理事)や井上委員(高齢社会をよくする女性の会理事)ら利用者を代表する委員だけでなく、内田委員らサービス提供側委員からも「外部評価には、形骸化しているという批判もあるが、質の確保という面で一定の価値がある。外部評価は継続すべき」との要望が出されています。

⑤は、「サ高住などの集合住宅に居住する複数の利用者に対してサービスを提供する場合には、移動時間を効率化できる」点に着目した減算規定を、定期巡回・随時対応サービスにも導入してはどうかという提案です。

現在、訪問サービス(訪問介護や訪問看護など)、居宅療養管理指導、通所サービスについては、この「集合住宅居住者における減算規定」が導入されています。

この点、「効率化のために減算は当然(本多委員・健保連理事)」という意見と、「サービス普及のために減算は見送るべき(山際委員・民間介護事業推進委員会代表委員)」という意見の双方が出されています。

なお、今回、複合型サービスにおける減算は提案されていないが、厚労省老健局の迫井老人保健課長は「サービスの整合性にも配慮して検討する」との見解を述べており、今後、追加提案される可能性もあります。

■訪問機能強化した小規模多機能への加算提案、委員からは批判も

(3)の小規模多機能型については、次のように10もの論点が掲げられています。
①訪問サービスの機能強化
②看取りの実施に対する評価
③運営推進会議および外部評価の効率化
④看護職員の配置要件、他の訪問看護事業所等との連携
⑤地域との連携に係る取組みの推進
⑥同一建物居住者へのサービス提供
⑦事業開始時支援加算
⑧グループホームとの併設型における夜間の職員配置
⑨地域型特養との併設
⑩中山間地域等における小規模多機能型居宅介護の推進

①は、次に要件を満たした場合の【訪問体制強化加算】を新設してはどうかという提案です。
●訪問を担当する常勤の従業者を2名以上配置している(特定職員を訪問サービスに固定する必要はない)
●1ヵ月あたりの延べ訪問回数が一定回数以上である(サ高住を併設する事業所では、要件を強化)

これは「在宅生活を支援する」機能を重視した提案ですが、堀田委員(労働政策研究所・研修機構研究員)からは「単なる訪問体制の強化を加算で評価すべきであろうか。重度者への訪問回数などの要件を加えたほうがよいのではないか」との意見が出されています。

なお、厚労省はあわせて「定員を29人以下に引上げる(現在は25人以下)」ことも提案しています(複合型でも同様の定員引上げが提案されています)。

②は、重度者への対応を強化するために【看取り介護加算】を新設してはどうかという提案です。要件として、「看護職員配置加算(Ⅰ)の算定」「看護師により24時間連絡できる体制の確保」「介護計画の作成」「医師、看護師、介護職員が共同した利用者への説明と同意」などが掲げられています。

⑥は、事業所と同一建物に居住する利用者へのサービスについて「移動コストの小ささを考慮」した減算規定を見直すものです。事業所と同一建物に居住する場合、当然とも思えますが、「泊まり」の利用は極端に少なく、「訪問」が多くなります。つまり、小規模多機能型においては、「事業所と別の建物に居住する利用者へのサービス」と「事業所と同一の建物に居住する利用者へのサービス」では、サービスの提供状況が大きく異なります。

そこで厚労省は、両者について別の基本報酬を設定することとし、現在の減算規定を廃止してはどうかと提案しています。これは、後述する複合型サービスでも同様の提案が行われています。

また、「④看護職員の配置要件、他の訪問看護事業所等との連携」や「⑤地域との連携に係る取組みの提案」「⑧グループホームとの併設型における夜間の職員配置」「⑨広域型特養との併設」は、施設の共同利用や職員の兼務などを認めるものです。規制を緩和することで、小規模多機能型の拡充を図る狙いがあります。

なお、⑦の【事業開始時支援加算】については、規定どおり平成26年度末(平成27年3月31日)で廃止することが提案されています。

■複合型サービス、訪問看護の実施状況に着目した加算・減算規定を提案

(4)の複合型については、6つの論点が示されています。
①報酬算定の見直し
②同一建物居住者へのサービス提供
③登録定員の見直し
④運営推進会議および外部評価の効率化
⑤サービス普及に向けたサービス名称の見直し
⑥事業開始時支援加算

①では、事業所によって訪問看護サービスの提供量や看取りの実施等が大きく異なっている現状に鑑みて、新たに加算・減算規定を設けてはどうかという提案です。事実上、基本報酬が3区分となるイメージです。
●訪問看護を実施している利用者が一定割合以上で、利用者の医療ニーズに重点的に対応している場合には、サービス提供体制を評価して基本報酬に『加算』を行う
●訪問看護を実施していない利用者が一定割合以上の場合には、基本報酬に内包されている訪問看護サービス部分について『減算』を行う

この点、鈴木委員は『加算』新設には賛成したものの、『減算』新設に対しては「サービス整備がストップしてしまうのではないか」と懸念を示しています。

また⑤については、サービス内容をイメージしやすいように「看護小規模多機能型居宅介護(仮称)」へ変更してはどうかとの提案がなされました。

ちなみに、現在、複合型サービスとして認められているのは、「小規模多機能型」と「訪問看護」を組合わせのみです

なお、⑥の【事業開始時支援加算】について、通常の小規模多機能型では、「平成26年度末まで」ですが、複合型では「平成30年度まで延長する」ことを厚労省は提案しています。複合型サービスは平成24年度に始まった新しいサービスであるためです。

■体制強化し質の高いサービスを行う訪問看護STをより手厚く評価

(5)の訪問看護では、次の3つの論点に絞って改定論議が進められました。
①在宅中重度者を支える訪問看護ステーションの対応体制の評価
②病院・診療所からの訪問看護の報酬算定の見直し
③訪問看護ステーションにおけるリハビリの見直し

①は、医療ニーズの高い中重度の在宅要介護者への対応を強化するために、新たな加算を設けるものです。

厚労省は、「次の3つの加算のいずれについても一定割合以上の算定実績がある」ことを要件としてはどうかとの考えを提示しました。
●【緊急時訪問看護加算】(電話等により常時対応できる対応や、緊急時に訪問看護を行う体制を評価する)
●【特別管理加算】(特別な管理を必要とする利用者に対して計画的な管理を行う体制を評価する)
●【ターミナルケア加算】(在宅での死亡までの看護を提供する体制を評価する)
この新たな加算の提案は、一見「加算を加算で評価する」もののように見えるが、厚労省老健局の迫井老人保健課長は「あくまで体制を評価するもので、二重の加算を設けるものではない」ことを強調しています。

要件となる加算は、いずれも医療ニーズの高い利用者へ質の高い訪問看護を提供する「体制」を評価しています。この3加算を十分に(一定以上)実施している「より体制を充実した質の高いサービス提供を行っている訪問看護事業所」をこれまで以上に手厚く評価するものと言えます。

②は病院・診療所が行う訪問看護の報酬を引き上げてはどうかという内容です。

病院・診療所の訪問看護は減少傾向にありますが、厚労省老健局の迫井老人保健課長は「訪問看護ステーションだけでなく、病院・診療所からの訪問看護も必要と考えている。病院や診療所に勤務する看護師に、訪問看護に目を向けてもらいたい」と説明しました。

③は、在宅リハ見直しの一環として「訪問看護ステーションからの訪問リハ(訪問看護の一内容)」の評価(第1回・318単位)と、「訪問リハビリ事業所からの訪問リハ」の報酬(1回307単位)について再整理を行ってはどうかという提案です。

次回は10月29日で、老健施設や特定施設について主に議論する予定です。

 

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